平成5年度 宅地建物取引主任者資格試験 

権利の変動分野 〔民法・区分所有法・借地借家法・不動産登記法〕

〔問2〕 Aの子BがAの代理人と偽って,Aの所有地についてCと売買契約を締結した場合に関する次の記述のうち,民法の規定及び判例によれば,正しいものはどれか。

1 が売買契約を追認するまでの間は,は,の無権代理について悪意であっても,当該契約を取り消すことができる。

2 が売買契約を追認しないときは,は,の無権代理について善意であれば,過失の有無に関係なく,に対し履行の請求をすることができる。

3 は,の無権代理について善意無過失であれば,が売買契約を追認しても,当該契約を取り消すことができる。

4 が死亡してを単独で相続した場合,は,が売買契約を追認していなくても,に対して当該土地を引き渡さなければならない。

 → 解答・解説

〔問3〕 Aが,その所有地について,債権者Bの差押えを免れるため,Cと通謀して,登記名義をCに移転したところ,Cは,その土地をDに譲渡した。この場合,民法の規定及び判例によれば,次の記述のうち正しいものはどれか。

1 AC間の契約は無効であるから,は,が善意であっても,に対し所有権を主張することができる。

2 が善意であっても,が善意であれば,は,に対して売買契約の無効を主張することができる。

3 が善意であっても,が所有権移転の登記をしていないときは,は,に対し所有権を主張することができる。

4 がその土地をに譲渡した場合,は,の善意悪意にかかわらず,が善意であれば,に対し所有権を主張することができる。

 → 解答・解説

〔問4〕 AがBに対して負う1,000万円の債務について,C及びDが連帯保証人となった場合,(CD間に特約はないものとする。)に関する次の記述のうち,民法の規定及び判例によれば,正しいものはどれか。

1 は, 1,000万円の請求を,の3人のうちのいずれに対しても,その全額について行うことができる。

2 から1,000万円の請求を受けた場合,は,に対し,に500万円を請求するよう求めることができる。

3 から請求を受けた場合,に執行の容易な財産があることを証明すれば,は,まずに請求しなければならない。

4 が1,000万円をに弁済した場合,は,に対して求償することができるが,に対して求償することはできない。

 → 解答・解説

〔問5〕 AがBからBのCに対する貸金債権の譲渡を受けた場合に関する次の記述のうち,民法の規定及び判例によれば,誤っているものはどれか。

1 その債権の譲渡についての承諾がないときは,からに債権譲渡の通知をしないと,は,から債権の取立てをすることができない。

2 から債権譲渡の通知を受け,かつ,から支払いの請求を受けた場合においても,がその債権譲渡の通知を受けた時点においてに対して既に弁済期の到来した債権を有しているときは,は,に対し相殺をもって対抗することができる。

3 の債権者の申立てによる差押命令の送達を受けたときは,その送達前にから確定日付のある債権譲渡通知が届いていても,は,の取立てに応じなければならない。

4 名義の債権譲渡通知を受領し,かつ,から支払いの請求を受けた場合において,が譲渡の事実を否認するときは,は,供託により,免責を受けることができる。

 → 解答・解説

〔問6〕 AのBからの借入金100万円の弁済に関する次の記述のうち,民法の規定及び判例によれば,誤っているものはどれか。

1 の兄は,が反対しても,の承諾があれば,に弁済することができる。

2 の保証人に弁済した場合,は,の承諾がなくても,に代位することができる。

3 名義の領収証をが持参したので,に弁済した場合において,に受領権限がなくても,が過失無くしてその事情を知らなかったときは,は,免責される。

4 は,弁済に当たり,に対して領収証を請求し,がこれを交付しないときは,その交付がなされるまで弁済を拒むことができる。

 → 解答・解説

〔問7〕 Aがその所有する土地建物をBに売却する契約をBと締結したが,その後Bが資金計画に支障を来し,Aが履行の提供をしても,Bが残代金の支払いをしないため,Aが契約を解除しようとする場合に関する次の記述のうち,民法の規定及び判例によれば,誤っているものはどれか。

1 は,に対し相当の期間を定めて履行を催告し,その期間内にの履行がないときは,その契約を解除し,あわせて損害賠償の請求をすることができる。

2 に対して履行を催告した場合において,その催告期間が不相当に短いときでも,催告の時より起算して客観的に相当の期間を経過して,の履行がないときは,は,改めて催告しなくても,その契約を解除することができる。

3 は,に対して契約を解除したときは,その後これを撤回することはできない。

4 に対し相当の期間を定めて履行を催告した際,あわせて『催告期間内に履行がないときは,改めて解除の意思表示をしなくても,契約を解除する』との意思表示をし,かつ,その期間内にの履行がない場合でも,がその契約を解除するには,改めて解除の意思表示をする必要がある。

 → 解答・解説

〔問8〕 Aが 1,000平方メートルの土地について数量を指示してBに売却する契約をBと締結した場合の,売主Aの担保責任に関する次の記述のうち,民法の規定によれば,誤っているものはどれか。

1 その土地を実測したところ 700平方メートルしかなかった場合,は,善意悪意に関係なく,代金の減額を請求することができる。

2 その土地のうち300平方メートルがの所有地で,に移転することができなかった場合,は,善意悪意に関係なく,代金の減額を請求することができる。

3 その土地のすべてがの所有地で,に移転することができなかった場合,は,善意悪意に関係なく,契約を解除することができる。

4 その土地にが登記済みの地上権を有していて,が利用目的を達成することができなかった場合,は,善意のときに限り,契約を解除することができる。

 → 解答・解説

〔問9〕 (抵当権での短期賃貸借は廃止されましたが,移行措置が出題される場合に備えて掲載しました。)

 Aがその所有する建物を担保としてBから金銭を借り入れ,Bの抵当権設定の登記をした後,Cにその建物を期間3年で賃貸する契約をCと締結し,平成16年1月22日にCに引渡した。Cは,平成16年10月17日現在でもその建物を賃借している。この場合,民法及び借地借家法の規定並びに判例によれば,次の記述のうち正しいものはどれか。

1.は,への賃貸について,あらかじめの同意を得なければならない。

2.は,賃借権の登記をしているときは,に対抗することができるが,その登記をしていないときは,建物の引渡しを受けていても,に対抗することができない。

3.は,その賃貸借により損害を受けるときは,裁判所に対し,その賃貸借契約の期間満了前でも,その賃貸借契約の解除を求める訴えを提起することができる。

4.は,その賃貸借を更新することができ,が抵当権を実行して差押えの効力が生じた後に賃貸借の期間が満了しても,法定更新をもって,に対抗することができる。

 → 解答・解説

●民法改正の経過措置
 原題は改正前に出題されたものですが,下記のとおり経過措置があり,出題の可能性が若干ながらあるため,原題のまま収録しました。

附則・第5条 (短期賃貸借に関する経過措置)

 この法律の施行の際現に存する抵当不動産の賃貸借〔この法律の施行後に更新されたものを含む。〕のうち民法第602条に定める期間を超えないものであって当該抵当不動産の抵当権の登記後に対抗要件を備えたものに対する抵当権の効力については,なお従前の例による

〔問10〕 AがBから土地を賃借して,建物を建て,その登記をした後,その建物にCの抵当権を設定して,登記をしたが,Aが弁済期に履行しなかったので,Cが抵当権を実行して,Dがその建物を競落した。この場合,民法及び借地借家法の規定によれば,次の記述のうち正しいものはどれか。

 は,抵当権を実行する際,及びに通知しなければならない。

2 は,競落により建物を取得したのであるから,土地の賃借権も当然に取得し,に対抗することができる。

3 は,土地の賃借権の譲渡についての承諾を得なければならず,が承諾しないときは,に対抗する手段がない。

4 の土地の賃借権の譲渡を承諾しないときは,は,に対しその建物を時価で買い取るよう請求することができる。

 → 解答・解説

●民法改正
 肢1に関連する旧381条が法改正で削除されましたが,問題の正誤には関係しないため,改題していません。

〔問11〕 平成16年10月AがBのために新たに借地権を設定した場合に関する次の記述のうち,借地借家法の規定及び判例によれば,正しいものはどれか。

1 借地権の存続期間は,契約で25年と定めようと,35年と定めようと,いずれの場合も30年となる。

2 『期間満了の際,に対し相当の一定額の交付さえ行えば,は更新を拒絶できる』と特約しても,その特約は,無効である。

3 『地代の増減は,の協議によって定める』と約定した場合,は,協議を尽くさなければ,地代の増減を請求することはできない

4 『借地権の設定から30年経過後に,の建物を時価で買い取り,契約は更新しない』と特約しても,その特約は,無効である。

 → 解答・解説

〔問12〕 平成16年10月Aがその所有する住宅をBに新たに賃貸した場合に関する次の記述のうち,借地借家法の規定によれば,誤っているものはどれか。

1 賃貸借の期間を10月と定めた場合において,その賃貸借が一時使用によるものでないときは,が解約の申入れをしても,その申入れの日から6月を経過しないと,契約は終了しない。

2 『賃料は2年の契約期間中増額しない』と特約した場合,は,当該期間中増額請求をすることができない。

3 その住宅が,法令または契約により一定の期間を経過した後に取り壊すことが明らかな場合は,ABの間で『建物を取り壊すこととなる時に賃貸借が終了する』旨の特約を定めることができるが,この特約は建物を取り壊すべき理由を記載した書面によってしなければならない。法改正のため新作問題

4 『が大型エアコンを設置することは認めるが,は契約終了のときその買取りをしない』と特約しても,その特約は,無効である。

 → 解答・解説

〔問13〕 Aが,5,000万円相当の土地と5,500万円の負債を残して死亡した。Aには,弟B,母C,配偶者D及びDとの間の子E・F・G並びにEの子Hがいる。この場合,民法の規定によれば,次の記述のうち正しいものはどれか。

1 限定承認をするときは,D・E・F及びが,共同してしなければならない。

2 が相続放棄をしたときは,が,代襲して相続人となる。

3 E・F及びが相続放棄をしたときは,及びが,とともに相続人となる。

4 E・F及びが相続放棄をしたときは,は,相続開始のときから3ヵ月以内に単純若しくは限定の承認又は放棄をしなければならない。

 → 解答・解説

〔問14〕 区分所有者から専有部分を賃借している者Aに関する次の記述のうち,建物の区分所有等に関する法律の規定によれば,誤っているものはどれか。

1 は,建物の使用方法について,区分所有者が規約又は集会の決議に基づいて負う義務と同一の義務を負う。

2 は,集会の会議の目的である事項について利害関係を有するときは,集会に出席することができるが,議決権を行使することはできない。

3 は,その専有部分を保存するため必要な範囲内であっても,他の区分所有者の専有部分の使用を請求することはできない。

4 が区分所有者の共同の利益に反する行為を行った場合において,区分所有者の共同生活上の障害が著しく,他の方法によってはその障害を除去することが困難であるときは,管理組合法人は,集会の決議をもって,その賃貸借契約を解除することができる。

 → 解答・解説

〔問15〕 不動産登記に関する次の記述のうち,正しいものはどれか。

1 登記は,当事者の申請又は官公署の嘱託がある場合でなければ,することができない。

2 登記名義人の氏名等の変更の登記の申請は,登記名義人が単独ですることができる。

3 申請情報と併せて仮登記義務者の承諾を証する情報を提供してする所有権移転請求権の仮登記の申請は,仮登記権利者及び仮登記義務者が共同してすることを要する。

4 登記権利者は,その者の所有権を確認する確定判決に基づき,売買による所有権移転の登記の申請を単独ですることができる。

 → 解答・解説

〔問16〕 不動産登記に関する次の記述のうち正しいものはどれか。

1 建物の新築による建物の表示の登記は,管轄を誤って登記されたものであっても,登記が完了すれば,職権によって抹消されることはない。

2 建物の表示に関する登記において,建物の種類は,建物の主たる用途により,居宅,店舗,事務所等に区分して定められる。

3 甲地甲地及び乙地に分筆の登記をする場合は,甲地に登記されている抹消された登記も,乙地の登記記録に転写される。

4 所有権の登記の抹消を申請する場合において,その抹消につき登記上利害関係を有する抵当権者がいるときは,申請情報と併せて抵当権者の承諾を証する情報及び抵当権者に対抗することができる裁判があったことを証する情報を提供することを要する。

 → 解答・解説


【正解】

10 11

12 13 14 15 16


●宅建過去問・民法編
昭和55年昭和56年昭和57年昭和58年昭和59年昭和60年昭和61年昭和62年昭和63年平成元年平成2年平成3年平成4年,平成5年,平成6年平成7年平成8年平成9年平成10年平成11年平成12年平成13年平成14年平成15年平成16年平成17年平成18年平成19年平成20年

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